今月の言葉

救剣と殺剣
８日の秋葉原での無差別殺傷事件には驚きました。

「秋葉原電気街の交差点で、２トントラックが突進し、横断中の通行人３人をはねた。運転していた男は車を降りダガーナイフ（刃渡り約１３センチ）で通行人らを次々に刺し、７人が死亡、１０人が重軽傷を負った。男は駆け付けた警視庁万世橋署署員らに殺人未遂容疑で現行犯逮捕された。逮捕されたのは、静岡県裾野市の派遣社員、加藤智大容疑者（２５）だった。」

「人生負けっぱなし」の挫折感が異常なエネルギーとなって爆発。
両刃のダガーナイフを見たときに、私は
不動明王の右手に持っている「智火の剣」、
文殊菩薩の右手に持ってい「智慧の利剣」を思い浮かべました。
ダガーナイフと形状が似ているような気がしたのです。
しかし、
容疑者の剣は、人を殺す剣。
仏様の剣は人を救う剣。
仏の剣は正しいものと正しくないものをすっぱりと切り分け、
仏法を妨げる悪鬼や魔物を降伏させ、
凡夫の煩悩をすっぱりと切り取り、
正しい仏の道に導いてくださる剣です。
もし、容疑者の持った剣がダガーナイフでなく、仏の剣だったら、
と、悔やまれてなりません。

たまたま東京にいた私は、ニュースでこの事を知り、
さらに、１０日に東京国立博物館で、宗教法人○○○が
ニューヨークの競売で１３億で落札した運慶作の「大日如来坐像」を
拝むことができた。
大日如来の印相（忍者の「ドローン」の指の型）は、
宇宙の真実に照らされ、一体となって救われる凡夫を示している
と言われています。

なぜ、容疑者は、不動明王にも文殊菩薩にも大日如来にも
釈迦如来にも阿弥陀如来にも、
お地蔵さんにも、薬師如来にも、弥勒菩薩にも、、、、、
数多の仏に会うことがなかったのだろうか？
と、残念でなりません。

もし、出会っていたならば、
「雨もよし　　晴れもよし」の心境に
少しは近づいていくことが出来たかも、、、。

「晴耕雨読」の悠々自適の生活は大自然の中で、
優しく、私の命も、あなたの命も受け止め、
「私の命もよし　あなたの命もよし」
そんな仏様にお会い出来るような気がします。

南無阿弥陀仏

釧路浄土寺　　　　　　　　わたべ徳史

平成20年6月の言葉